本とgekijou

書評のようなものを中心としたblog

2024-06-01から1ヶ月間の記事一覧

(犬の日記)六月十七日

朝の六時に起きて小説を書き始める。書き出し部分を終えてきのうから、十枚ずつのノルマが設けられている文章である。最近、真夜中に目が覚めてしまうことが多いのだが、すぐにまた眠りに落ちることができているので、たいした問題ではないだろう。きょうの…

クラシックと私

今夜、すベてのバーで 〈新装版〉 (講談社文庫) 作者:中島らも 講談社 Amazon 私の文学史: なぜ俺はこんな人間になったのか? (NHK出版新書 681) 作者:町田 康 NHK出版 Amazon おもえばパンクって生ぬるい。 まだ、手ぬるい。 かもしれない。 ロックやポップ…

伊藤整に就いて

批評精神のはたらきと、小説を書く(書いてしまう)はたらきとは、おなじ文章のかたちで表現されていっても、まったく別々のところから出てきた、まったく別々の性質の文章なんだということ、これは忘れてはならないことだ。 今みたいなSNS時代では、なん…

「小説とは何か」に就いて

文学とは何か、とか、とくに「純文学」なんていうのやっていると標榜をすると――標榜をしている、というよりもしかたがなくそういっている、という感覚に近いのだけれども――俗っぽい言い方で、聞かれたりする、そういうことを訊くひとにかぎって「純文学」的…

昔はスマホゲーの看板みたいな感じで小説本の看板があったもんさ

「私の母が伊藤さんの伝記、すごく気に入ってくれたらしくって……」「あれはひとがいいひとには受けるようにできている」「私の母もいわゆる昔の文学少女って感じでね」「太宰治とかだ」「そう。太宰治とか。伊藤整は知らないかも。タイトルをいえばわかるか…

(犬の日記)六月十三日

図書館の資料をすべて貸し出し延長を申し込む。それにしても最近、飲酒がとまらない。今日は飲んでいないが……。おもうに田舎の退屈さが私に酒を飲むようそそのかすのだろう。だが都会であったらあったで昼酒に適した店屋のひとつ、ふたつを見つけてはそこで…

山岡家のシャツがとどいたぞ!

醤油、味濃いめ、油薄め、麺普通で頼むことが多いです 四十枚すぎたくらいから、意識してかぞえるようになるこの券 東京で美味しいものを食べることが習慣づいてしまっていて、食について文章に書く段にも必然的に東京の食の話になる、ワープロを閉ざしてふ…

(犬の日記)六月十二日極道日記

朝、九時になるころには一枚を書いている。よく覚えていないけれども(今は同日の十七時を越えて、夕飯をつくらねばならないころだ。今はマリネにするためのなすを水に浸している)つまりはそのころには、コーヒーを二、三杯はもう飲んでいたということにな…

嗚呼、日本文学

「赤い鳥」のレコード盤をひと揃えで買って、それというのは、我が師・伊藤整が「赤い鳥の本」の監修をしていたからという、その事由もあるのだけれども、ようするにこういう世界に惚れていたいんだよね。自分で云っていて自分で嫌気が差すし、「文学なんて……

(犬の日記)書き始めたころ

この話も何度かしたのだったか、しれないけれども、小説家になりたいとおもったのは十二・三歳とかそれくらいのころで、中学生のその歳に美術部の先生が、文化芸術コンクール、みたいな公募の賞のポスターをもってきて、千広くんはいつも本を読んでいるから…

小説が成長を導くという気のいい幻想について

ベートーヴェン――音楽の哲学《改訂版》 作者:テオドール・W・アドルノ 作品社 Amazon 不協和音 (平凡社ライブラリー) 作者:Th.W. アドルノ 平凡社 Amazon ベートーヴェンの生涯 (岩波文庫) 作者:ロマン・ロラン 岩波書店 Amazon むかし、書店の人文書新刊棚…

(犬の日記)六月十日、朝

朝、同居する婚約者が休みのいちにちである。九時ころに起きてコーヒーを十時半の今に至るまでたえず飲み続けて、レコードプレーヤーからは盤質が悪く百円で捨てられていたカラヤンのシューベルトの八番を流している。カラヤンは好きな指揮者ではないが、レ…

小説家になんかなろうとすんのってやっぱおかしいキビシサ――文学新人賞極私感

きょうは酔っ払っていないし、こういうベランメェ口調で焚きつけるように書くスタイルって、いい加減によしたいのだけれども、たまには本当のところをさらけだす必要もあるのであって、つまりは「ハンチバック」、くだんなかったですね。 わかってる、お他人…

「コット、はじまりの夏」(☆☆☆☆)「ありふれた教室」(☆☆☆☆)

武蔵野館で観た「コット、はじまりの夏」(☆☆☆☆)はすっごくベターな構図なのだけれども、荒廃した家庭に傷ついた少女が、優しい親戚の夫婦の家、べつのいきいきとした世界でしばらくの間、すごすという話。アイルランドだから、「アンジェラの灰」みたいな…

与野くんと僕

与野くん(仮)との初対面は新橋で、「パウリスタ」で待ち合わせたのを明白におぼえている。 僕が約束の時間の半時間前に「パウリスタ」につくと、ピザトーストを食べていた与野くんが「コリャ失礼」といいながら、そのピザトーストを、バカみたいに、口いっ…

りとさんの絵画

はじめて絵を買ったのはルノワールの、なにかの、複製画だったとおもう。私は二十歳になったばかりで東京でDJをするかたわら、福島の駅のなかのラーメン店でアルバイトをしていた。ルノワールを買う、ということが重要なのではなく(ルノワール? といまに…

(日記)昼酒をするという人生にとっての大きな自由

小説を一本書き上げる初稿最終日の朝、ハードオフで百円円だったピアノ小曲集のレコードのぶつぶついうノイズを聞きながら(演奏は音大生並みなのであんまり真面目に聴いていない。とくにショパンのノクターンは聴けたものではない)、パンを温めてコーヒー…

「トラペジウム」(☆)は現状、今年ぶっちぎりのワースト映画

「トラペジウム」(☆) 「トラペジウム」はTOHOシネマズで予告篇を何遍も観ているうちは「切り」だったのだけれども、婚約者(女性)が、「SNS(X)で評判だから観たいかも……」と言っているのを聞いて、へえ人気なんだ、というので、観てみた。これ…

(日記)きょうは書かない日であった

きょうは書かない日であった。朝、婚約者に起こされて近所のパン店で買ってきたという惣菜パンを頬張り、書かないかな今日は、というので意識的に昼から酒を買って飲む。ビールを買うついでに郵便局へ行き大原富枝文学館へ資料を呈出(資料というか、未収蔵…

(日記)味のある改札機のくぐり方

五月三十一日、鬼生田貞雄研究はつづく。「文藝時評大系」(全七十四巻の頭がオカシイ全集)をもとめて東京都立図書館へゆく。カウンセラーの先生が言っていたとおりに、広尾は本当に、なんでまたこんな処がこんな顔をしているのだ、という不可思議な場所だ…

(日記)自在さをうしなった機械の歯車のような日記

五月三十一日の深夜。東京に行き診察を受けてきたため、二日振りにデスクトップの画面で「一太郎」を開いて、銀軸のキーボードをタイプをしている。十年以上の付き合いになった茶軸が定年退職をして(チャタリングを起こはじめたのだ。機械にたいして、機械…