本とgekijou

書評のようなものを中心としたblog

酔っ払い(雑纂)

葬儀でかけてもらいたい曲

葬儀でかけてもらいたい曲、という大テーマ、「お題」というやつがあるが、なんにもヒネらずに率直に答えてしまうと、私の場合、ハイフェッツのなにか、ということになる。バッハの無伴奏や、ブラームスではどうも速すぎるから、折角だからベートーヴェンの…

数寄屋橋の喫煙所でパンクスについて考える

これは数寄屋橋公園を横に抜けて、インズの横手にいまもある喫煙所がまだ、コンテナ式ではなかったころの話なのだが、もうもうとけぶる吸い殻棄てに水をやり、地べたに転がっている煙草を一本、また一本と拾い集めながら棄ててやっている、アラサーくらいの…

「本屋大賞」的なものが本屋を潰してきたのだとしか思えないから本屋など全部潰れろ

じき十年もすれば町の書店はなくなる、のだそうだ。 そんなことはどうだっていい、とつくづく思う。 新宿の紀伊國屋の本店がなくなったら、大事件であるし、八重洲の本店とかは残っていて欲しいのであったが、書店という場所は私はめっきり、キライになった…

作家の自己意識、または作家と幼年期

私は解離の人間であるから、むかしは、いわゆる幽霊を家のなかでばんばん見ていたものであったし、ドナ・ウィリアムズのノンフィクションにあるような精霊が話しかけてくるといったことも日常であった上に、眠る時に天井の木目をかぞえているうち自然と体外…

小説投稿サイトについて

パートナーに短編小説を読ませて、文意がつかみ取りにくいところ、誤字脱字があるところに付箋をはってもらいながら、ふと、強くおもったのだが、読者というのは本当に怖いものだ。 私は書きたいように書きまくっていたいし、だれにも求められることのないう…

制作中のグールド

まったく、毎日が大混乱の日々を送っている。自分で望んで、自分でそのようになるようレールを敷いたのだったから、「まったく」もなにもないものだけれども。僻地、福島県郡山市だというのに、私の周辺だけ、歌舞伎町みてえに、ネオンの向こうに役所がみえ…

街歩きの風趣と、一体になっているのが、映画なんだよ

新宿の紀伊國屋書店のすぐ横手の「ディスクユニオン」のクラシックコーナーで、安い現代音楽とか、無伴奏ヴァイオリンとかをあさりながら、友人と合流してメシを食ったり、映画館を観に行ったりする、という流れがあって、そういえば新宿ではもっぱらゴジラ…

母、危篤

書きたてほやほやの自作の短編小説では、危篤状態になっても母親を見舞いに行かない選択をする、男の物語を書いたばかりだというのに、人生なんていうのはおもう通りにはいかないものだし、こちとら気分次第、分裂症、なんていっちゃなんねえ、滅茶苦茶で生…

人生に大切なものとしての仕事、友人、喪失――ニール・ヤングの「Bird's」をそえて

われら人間たちの人工物でありわれら人間たちを魅了する、金貨で金貨を買収する空騒ぎがおわったのちに、なにもない時代、なにも変わらない時代、長い長い余白の時代が、半世紀も過ぎて、この嵐のあとの静けさはもう静けさではない、たしかに静けさから耳を…

宗教ぎらい

いかに私、ひとりが悪態をついていても無駄だ。 そもそもが、ときおり世界は美しいのだと、そう私に感慨を迫ることがある、それを私はどのように屈託をして、嗟嘆をして、たとえば地方のメシのまずさにぶちキレながらも、知っていた筈だ。 たとえばある昔の…

社交と読書

じゃあきょうは、――友人にさらりと訊かれたことを切っ掛けにして、前の日のモテる、モテない、みたいな世にもくだらない文章を書いたわけだけれども、もうちっと、建設的にそれを敷衍していこうか。 とはいえ、まあ、といったところから。 たしかに、社交術…

本読んだり小説書いたりしているとモテるか否か問題

この歳になってふとおもうのだが、小説なり、本をひとよりも読んでいることや、本を読んでいることによっていろいろなテクニカルタームだとか文学史的な知識を身につけていることって、くだんないと(ふと)おもう。ふと、というこの「ふと」にはこれまでは…

言葉の影

また、きょうから二百枚の中篇に取りかかる。 師匠。 師匠は、成長はゆっくりやって来るといったが、たしかに、いかなることも成長となりうる、そうだったのかもしれない――。すくなくとも私たちはいかなることからも学ぶことは可能だ。 だが酷く心ぼそくなる…

本格小説について

本格小説(上) (新潮文庫) 作者:美苗, 水村 新潮社 Amazon [新装版]血と骨(上) (幻冬舎文庫) 作者:梁石日 幻冬舎 Amazon P+D BOOKS 宣告 上・中・下巻 合本版 作者:加賀乙彦 小学館 Amazon 本格小説、というタームがSNSのタイムラインに流れてきて、お…

パイプのゆくえ

パイプっていうのはいいぞ。 大麻やってんじゃねえのか、って誤解を受けるリスクはあるけれども。 風情がいいもんだ。 なによりも、紙巻きの煙草とちがって、パイプっていうのは粘膜で吸うから、酒を飲んでいる時なんかに重宝するんだね。 私なんて胃弱だか…

ガルシア=マルケスなんて、たいして面白くないじゃん

浅田彰もどこかで言っていたけれども、マルケスって全然、いい作家とおもわない。いかにもノーベル文学賞って感じだし。 いろいろあるが、ひとまずマジックリアリズムについては、カフカが草分けだろう、と私は考えているのね。 ハプスブルク帝国下のチェコ…

食べものの話

シラフだからふと考えた。 死ぬことになった時にこのじぶんが食いたい、と云っているもんとは一体なんであろうか。 サッポロ一番でも食っていろ、というのは無しで。 オーバカナルのパナッシェなのだろうか。 病身かなんか、なのだろう、死ぬってこたぁ。 酒…

大原富枝文学館からの手紙

拝啓 台風一過、貴館におかれましては益々ご健勝のことと存じます。 過日、福島県の小説家鬼生田貞雄について、電話にて調査ご対応いただいた伊藤千広でございます。その節はたいへんお世話になりました。 電話にておはなし申し上げていた大原富枝「鬼生田さ…

クラシックと私

今夜、すベてのバーで 〈新装版〉 (講談社文庫) 作者:中島らも 講談社 Amazon 私の文学史: なぜ俺はこんな人間になったのか? (NHK出版新書 681) 作者:町田 康 NHK出版 Amazon おもえばパンクって生ぬるい。 まだ、手ぬるい。 かもしれない。 ロックやポップ…

伊藤整に就いて

批評精神のはたらきと、小説を書く(書いてしまう)はたらきとは、おなじ文章のかたちで表現されていっても、まったく別々のところから出てきた、まったく別々の性質の文章なんだということ、これは忘れてはならないことだ。 今みたいなSNS時代では、なん…

「小説とは何か」に就いて

文学とは何か、とか、とくに「純文学」なんていうのやっていると標榜をすると――標榜をしている、というよりもしかたがなくそういっている、という感覚に近いのだけれども――俗っぽい言い方で、聞かれたりする、そういうことを訊くひとにかぎって「純文学」的…

昔はスマホゲーの看板みたいな感じで小説本の看板があったもんさ

「私の母が伊藤さんの伝記、すごく気に入ってくれたらしくって……」「あれはひとがいいひとには受けるようにできている」「私の母もいわゆる昔の文学少女って感じでね」「太宰治とかだ」「そう。太宰治とか。伊藤整は知らないかも。タイトルをいえばわかるか…

山岡家のシャツがとどいたぞ!

醤油、味濃いめ、油薄め、麺普通で頼むことが多いです 四十枚すぎたくらいから、意識してかぞえるようになるこの券 東京で美味しいものを食べることが習慣づいてしまっていて、食について文章に書く段にも必然的に東京の食の話になる、ワープロを閉ざしてふ…

(犬の日記)書き始めたころ

この話も何度かしたのだったか、しれないけれども、小説家になりたいとおもったのは十二・三歳とかそれくらいのころで、中学生のその歳に美術部の先生が、文化芸術コンクール、みたいな公募の賞のポスターをもってきて、千広くんはいつも本を読んでいるから…

嗚呼、日本文学

「赤い鳥」のレコード盤をひと揃えで買って、それというのは、我が師・伊藤整が「赤い鳥の本」の監修をしていたからという、その事由もあるのだけれども、ようするにこういう世界に惚れていたいんだよね。自分で云っていて自分で嫌気が差すし、「文学なんて……

小説が成長を導くという気のいい幻想について

ベートーヴェン――音楽の哲学《改訂版》 作者:テオドール・W・アドルノ 作品社 Amazon 不協和音 (平凡社ライブラリー) 作者:Th.W. アドルノ 平凡社 Amazon ベートーヴェンの生涯 (岩波文庫) 作者:ロマン・ロラン 岩波書店 Amazon むかし、書店の人文書新刊棚…

小説家になんかなろうとすんのってやっぱおかしいキビシサ――文学新人賞極私感

きょうは酔っ払っていないし、こういうベランメェ口調で焚きつけるように書くスタイルって、いい加減によしたいのだけれども、たまには本当のところをさらけだす必要もあるのであって、つまりは「ハンチバック」、くだんなかったですね。 わかってる、お他人…

与野くんと僕

与野くん(仮)との初対面は新橋で、「パウリスタ」で待ち合わせたのを明白におぼえている。 僕が約束の時間の半時間前に「パウリスタ」につくと、ピザトーストを食べていた与野くんが「コリャ失礼」といいながら、そのピザトーストを、バカみたいに、口いっ…

りとさんの絵画

はじめて絵を買ったのはルノワールの、なにかの、複製画だったとおもう。私は二十歳になったばかりで東京でDJをするかたわら、福島の駅のなかのラーメン店でアルバイトをしていた。ルノワールを買う、ということが重要なのではなく(ルノワール? といまに…

「ふと枕元で思い浮かべるのが、高田馬場のブックオフ(笑)」

「渡なべ」のラーメンもスゴイ いっつも新宿から福島に帰ることが多いから、そうすると、新宿のメシ屋には通ずるし、武蔵野館の映画を観ながら眠りこけることができるし、で、いいことずくめなのだけれども、まあそれにしたって脂肪もついて、いつでも酔っ払…