本とgekijou

書評のようなものを中心としたblog

近ごろの映画レビュー

 「エルヴィス」(☆☆☆)
 アーティストの成功譚や、どれだけ努力をしていたか、陰でどういった悩みがあったかといったことに焦点を当てるのではなく、マネージャーとの金銭問題を中心に据えてストーリーを矮小化させているため、大きなカタルシスもなければ、伝記映画としての不備も多い。編集(場面のつなぎ)の派手さうるささは、企図しているようなゴージャスさを演出できていない。

地元のしょぼい映画館(郡山テアトル)で観劇

 「エリザベス 女王陛下の微笑み」(☆)
 ☆1は☆5と同様に、滅多につけないことをポリシーとして映画レビューをしています。この映画はやっていることが本当にダメで、まず、王室のことをよく知っているイギリス人が観ても「つまらなかった」と感想をもらすのが当たり前。そのつまらない映画(イギリス人でしか分からない文脈での引用とか、単に不適当な参照が映像的にどっさりとカットアップされて、水増しされている)をさらによくとは知らない日本人が観させられると、……。伝記映画として前提知識が多いのだが、それをカバーしていない(ダイアナ妃のことすら今の若い人は知らないだろう)。演出過多なのは軽薄なばかりで、王室を扱う緊張感や歴史性と向き合う態度のごときものは、みじんも感じさせず、ポップに徹しようとするしたたかなもくろみも当然、作り手にはないだろう。

いわき市の駅前にある単館系劇場にて観劇