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「トラペジウム」(☆)は現状、今年ぶっちぎりのワースト映画

「トラペジウム」(☆)

 「トラペジウム」はTOHOシネマズで予告篇を何遍も観ているうちは「切り」だったのだけれども、婚約者(女性)が、「SNS(X)で評判だから観たいかも……」と言っているのを聞いて、へえ人気なんだ、というので、観てみた。これは現状、今年ぶっちぎりのワースト映画。いわゆるクソ映画、ゴミ映画なんだね。ここでいうクソ、ゴミ、というのはたんなる誹謗ではなくって、「映画として致命的な破綻を有している映画」ということになる。以下ちょっとしたネタバレはあるが、結末とかにはふれないで済むか。なにせ映画の中盤の展開で、この映画は大きく破綻する。
 観ると、まず予告編通りに、女学生の主人公がなにやら、いろいろな高校に出向いていって女の子をあつめているのね。アイドルグループを結成するために、女の子を集めているのか、ということが視聴者にはそれでわかる作りになっている。けれどもなんでそんなことになっているのか? 自分のいる学校内でなんとかならないのか? といった説明は成されていないし、こんな女衒みてえな女子高生いるわけねえだろ、とおもうわけだけれども、そこは映画、許容範囲。そんなひといない、を捉えるのも、映画のしごとだからね。
 この映画がすごいのは、けれども、その設定が中盤でぶち壊しになってしまうの。
 なんか、そうしているうちに四人の女学生があつまって、地元のお城のボランティア活動みたいなことを、主人公たちはすることになる。するとそこに新人のテレビ・ディレクターがやってきて、先に述べた主人公の努力とはまったく関係のないふわっとした展開から、皆、抵抗もなくアイドルになってしまうの。いい? 主人公はあつめた女の子たちに隠してアイドルグループを結成しようと、画策をして、四人をあつめたのだけれども、その主人公の計画とか、なんとかは、一切関係なしに、外部の力によって簡単にアイドルになってしまう。くりかえすけれども、……んーと……。
 つまりだから、「じつはわたし、アイドルになりたいの。お願い、みんなでグループを組みましょう」とかなって、それでみんながわかった、となって、いろいろ努力をするわけではないのね。
 そうではなく、「城のボランティア活動を女学生四人でしていたらそこにテレビディレクターがやってきてアイドルにさせてあげる」、そのお話が、唐突に割り込んでくる。その話じたいは、だから突飛ではないというか、映画なんだからいい、としても、まあすくなくとも二回ありえないことが、映画なんだからいい、が起こっている、ゴジラ映画にアンパンマンがでてきちゃった、といってもいいのだけれども、二度めの展開によって一度めの展開がまったく、なかったことになってしまっている。
 四人のグループをつくって「じつはわたし、アイドルになりたいの。お願い、みんなでグループを組みましょう」という話と、「お城のボランティア活動をしていたらいきなりアイドルにさせられてしまう」という話と、どっちかひとつだったら、話として成立するところが、このふたつがどっちも入ってしまうと、脚本上の瑕疵というのでもない、そこから起こるストーリーって一体なんなんだろう、くらいの顛倒、大崩壊になってしまう。アイドルとしての葛藤とか、なんとかの話、もうどうだっていいじゃないですか。アイドルってそんくらいの浮揚感をともなって生きているのかもしんないけど、とにかく、映画としてはクソ映画ですよこれ。映画として、壊れている。主人公の描き方に魅力的な箇所はあったが、壊れているもんに真面目に向き合う必要はない。だって真面目につくっていないんだから、そこからはなにか感じなくていい、と私はおもった。
 わかるよ、絵は綺麗だし、なんてーか、「ラブライブ」とか「アイマス」みたいなキラキラしたアイドルものの批判の材料というか、ポストアイドルもの、と位置づけたくなるような、素材の新しさはあるかもしれない。けれども、映画として成り立っていないんだから、とりあえずこれは無視でいいじゃん。SNSで変なふうに高評価をえているのも、元アイドルのひとが原作を書いているから受けたんだろう、くらいに、軽く流しておくのでいいとおもう。本当にひどかったです。

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