本とgekijou

書評のようなものを中心としたblog

2022-07-24から1日間の記事一覧

「百人に近い家族職員、三百三十人に余る患者たち」――坂口安吾、小林秀雄、北杜夫

あくまでも一例なのであるが、日本文学、あるいは構造としての小説、と向き合った時に思いうかぶ、ひとつの作品がある。 夏が来て、あのうらうらと浮く綿のやうな雲を見ると、山岳へ浸らずにはゐられない放浪癖を、凡太は所有してゐた。あの白い雲がうらうら…