すいません、きょうも酔っ払いのダラダラとした話です(小説を書くのにいそがしい)。
フィリップ・シーモア・ホフマンのことをおもうといつも、いたたまれなくなる。
ほんとに、悲しいヨ……(若くしてヘロイン中毒で物故)。
私は「マグノリア」のDVDを百遍は通して観たんだよ。それするくらいしかできないほど、貧乏だったり、ちょうどあん時ちょっと病気だったり、していたの。
あれの撮影とか、編集の強度が、もう脳みそのヒダヒダに刻印されてしまっていて、映画を観るさいの高い基準になっている。
フィリップ・シーモア・ホフマンの出ている作品をかたっぱしから観ていたころに、「カポーティ」なんていう超絶怒濤の、最高傑作が出た。
たとえば、「市民ケーン」とか、そういうの、あれに比したらしょぼい昔のフィルムですよ、というような。若書きの、っていってもいいし、たいした映画じゃねえよな、「市民ケーン」って。
「カポーティ」を撮った監督も可哀想でね、その後、ぱっとしないもの、あんなものを撮ってしまったばっかりに。
俳優ってか、小説家なんていうのも、長生きをしてなんぼというところが、あるからなぁ。ロックミュージシャンみたいに、一番いいところで終わる、みたいなのは、まあいないね。
小説家でいうと、織田作は小説がすごく上手かった、無頼派のなかでは突出して、比較すんのも愚かしいくらいに、一番上手かったんだけれども、もっともっと、書いてほしかった、ゆくゆくは長篇でもすさまじいものを書いてほしかった、と、そうなるもの。音楽だと……貴志康一とかいるけれどもね。知らないなら聴くとぶっ飛ぶよ。大天才。
老残さらして、っていう言葉が説得性もちがちなわれらが高齢化社会であって、たしかに皆が皆、石川淳。みたいなのになっちまったら最悪だけれども、まあ芸人っていうのは長生きしてなんぼだ。
いま一番注目している俳優はね、ポール・ダノ。
忘れもしない、国際フォーラムでのペットサウンズ再現ライブのあの頃、ブライアン・ウィルソンを演じた傑作「ラブ&マーシー」とか、「それでも夜は明ける」のすっごい嫌味な白人とかね。すごくいい俳優。
やっぱ悪役がよくないと、困るよな、俳優って。
それでさ。
むかし、ブラッド・ピットとかレオナルド・ディカプリオとかさ、大根役者がすごくもてはやされたけれども、ティモシー・シャラメはちがうとおもうんだよね。もう地力がちゃんとある俳優なのだとおもっている。「ストーリー・オブ・マイ・ライフ」(傑作!)での演技は印象的だったし、まずあの監督にえらばれている時点で、相応の役者なんだよ(インディーズ路線だったのが「バービー」でフィーバーして、まあ、一ファンとして喜ばしいこではある)。
なにが言いたいかっていうと、デューンの続編、クッソ楽しみ。まず大当たりでしょう。今年の大本命だよな。
前作観ていないひとは、いまからでも、ちゃんと、チェックしてみるといいよ。海外文学が好きなひととかにはぶっ刺さるから、なかなかない、あのふんぷんたる香気。