本とgekijou

書評のようなものを中心としたblog

2022-09-26から1日間の記事一覧

「闇の中に閉じこめられた複雑な機械」――谷崎潤一郎「青春物語」、伊藤整「若い詩人の肖像」

谷崎潤一郎の文章に不感症である。 官能的な色や、感触ではない、ただ散文的な印象をどの小説からも受け取ってしまうのだ。 十七歳かそこいらで「細雪」を読んでいたことも、その一因であったかもしれない――近所に学校があり、そこで学生らが華やかに声を上…